アカシックレコード

神話的思考とアカシックレコード

最近、少し時間があり、中沢新一さんの本を読みかえしています。

現在、中央大学の教授である中沢さんは、宗教学者であり、思想家として知られています。

チベット密教を研究した「チベットのモーツアルト」、チベット死者の書を取り扱った「チベット三万年の死の教え」などの著書がありますが、これらの著書は彼が実際にネパール、インド、シッキム、ブータンなどで密教修行に明け暮れた経験が活かされ書かれています。

どの研究や著書も素晴らしく、宗教と学問の境界線を、ひょいっと行き来する類まれなバランス力を持った方であると私は感じています。

このようなバランス力を持った方は、河合隼雄さんと中沢新一さん以外、私は日本では知りません。

 

(戸隠奥社への入り口。「隋神門」)

彼の著書で私が最も気に入っているのは、「人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ」というシリーズです。

かみ砕いていうと、人々がずっと昔から大切に受け継いできた「神話」とはどんなもので、どんな考え方をすれば、神話や昔話を読み解くことができるのかという「神話的思考」について書かれたシリ-ズなのですが、第一巻では、有名な「シンデレラ」の話について、様々な角度から考察を深めていきます。

シンデレラのお話の原型は中国の物語であり、その変形バージョンは世界中のあらゆるところに見つけることができるとのこと。

物語に出てくる様々な象徴は人類普遍の言語(例:豆は男性性を表し、鳥は女性性を表す等)であり、実際これらは何を語ろうとしているのかを読み解いていきます。

中沢新一さんはかなり以前にはまったのですが、実際に私が彼の本を通じて得たものは、この「神話的思考法」です。

私たち人間は一見、外側の文化に依存しており、場所や時代が違えば、考え方や価値観は大きく異なり、目指しているものや、人生のゴールなどはそれこそバラバラであるように感じられることもあります。

しかし実際には私たち人間はそれほど変わっていないのです。

人間、外側がどんなに変化しているように見えても、内側の構造はそれほど変わっていない。

人生とは魂の全体性(純粋なる喜び)を表現するためにあり、そのために男性性と女性性を体現し、統合していく…というアプロ-チは永遠普遍のもの。

神話で扱われている内容や象徴は一見、突拍子もないものですが、それらが何を意味しているのかを一度理解することができれば、それを現実の人生に活かすことができます。

( 道の途中にある杉のうろ)


私が行っているアカシックリーディングセッションでは、この神話的思考法と象徴についての理解は大きな基礎となっています。

クライアントが目の前にある出来事を語るとき。

それが魂全体の物語として何を意味しているのかを私はアカシックレコードにたずねます。

それがどんなに荒唐無稽の出来事であり、本人が自分に何が起こっているのかがまったく理解できなくても、全体の物語としてそれを捉えたとき、その意味がはじめて理解できるのです。

そして相手や自分自身のアカシックレコードに深く立ち入っていく場合。

アカシックレコードの表層では通常の外側の出来事に近い形で情報がもたらされるので、論理的思考でもその情報を持って帰ってくることが可能なのですが、アカシックレコードの深い領域に入れば入るほど、そこには神話で見られるような、一見荒唐無稽な物語が展開されていくのです。

そして現実に立ち戻ったとき、全体性を見るこの「神話的思考法」を用いて、日常にそれを還元していく…ということを行っています。

…中沢新一さんの著書に書かれている、ネイティブアメリカンによる詩を紹介したくて、少し彼について触れておこうと思ったら、長々と書いてしまいました…(^_^;

続けて、その詩を紹介したいと思います。

『グレート・スピリット』

おお、グレート・スピリットよ、私は嵐の中にあなたの声を聞きます。

あなたの息吹は、万物に命を授けています。

どうか私の言葉を、お聞き届けください。

あなたが生んだたくさんの子供の一人として、私はあなたに心を向けているのです。

私はこんなに弱く、そして小さい。

私にはあなたの智恵と力が必要です。

どうか私が、美しいものの中を歩んでいけますように。

赤と緋に燃える夕日の光を、いつも目にすることができますように。

あなたが創り出したものを、私の手がていねいに扱うことができますように。

いつもあなたの声を聞き取っていられるよう、
私の耳を研ぎ澄ませていてください。

あなたが、私たち人間に教え諭したことのすべてと、
一枚一枚の木の葉や一つ一つの岩に隠していった教えのすべてを、
私が間違いなく理解できるよう、私を賢くしてください。

私に知恵と力をお授けください。

仲間たちに秀でるためではなく、
人間にとっての最大の敵をわが手で打ち倒すために。

汚れない手とまっすぐな眼差しをもって、
あなたの前に立つことができますように。

そのときこそ、私の命が夕焼けのように地上より消え去っていくときにも、わが魂はあなたのもとに堂々と立ち返ってゆけるでしょう。

(中沢新一 『神の発明 カイエ・ソバージュⅣ』2003年6月10日 80-81ページ)

 

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